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音の鳴っている場所に足を運び耳を傾けると“祈り”を感じる瞬間が多かれ少なかれあって、
でも音楽だから“祈り”っていうものが何なのか、何を持って“祈り”なのか漠然としていました。

そんな中、滝のように激しく強烈で、炎のように力強く、温かいトライアングルから放たれる愛。
一聴してすぐに判った。ああ、これが“祈り”か。

2016年2月19日、福岡にあるライブハウスPeaceで行われたパーティーで僕はラビラビと出会い、
話を伺いたくなり、ボーカル、az3さんとのメールインタビューという形式で今回実現しました。

こどもの日にリリースされたNEW ALBUM “SIGN OF LOVE”に関して。

山口 賢三




― 2013年の前作「Mt.WAVE」 から今回発表する「SIGN OF LOVE」に至るまで約3年もの期間がありましたが、どのような経緯で今回のアルバム制作、発表となったのでしょうか。








az3 : オリジナルアルバムとしては3年の期間が空きましたが、前作 'Mt.WAVE' の翌年2014年にはそれまでの楽曲のセレクトをDJ MIXというスタイルでまとめた作品 'Heaven on the Ground -mixed by YA△MA-' を、2015年にはライブでの定番曲を 'ORGA -ALTZ/Kuniyuki Remix' としてラビラビ初のVINYLというフォーマットで、また同年に列島各地のミュージシャンとレコーディングした福島県の子供たちへのチャリティCD & PICTUREBOOK 'Song of the Eaerth'をリリースし、つねに独自の目線というのを意識しながら発表を続けてきました。ライブ活動はもちろん、これらの制作すべてが潜在的,顕在的にオリジナルアルバムにつながっていて、ついに流れがやってきたなと感じたのが昨年夏のタイミングでした。









― 新たにリリースされた本作には全8曲収録されていますが特に思い入れの強い曲はどの曲ですか。






az3 : メンバーそれぞれあると思いますが、私はtr.3 / Hala , tr.4 / Sign of Love , tr.8 / Dragon Fallsあたりです


― どのような部分に思い入れが強いのでしょうか。


az3 : tr.3 Halaは 'ハラ イヤイリエ' という言葉(というか文字列)を自宅の駐車場で閃いたところから始まりました。この言葉(というかこの時点ではもう言霊)が呼び寄せる詞や旋律を、高知 四万十川の河口や青森 八甲田山など列島各地を旅しながら閃いたときに組み合わせていきました。最終的に3人で曲のような形が見えたのは北海道 積丹半島を旅したときです。美しい岬を眺めながら一気にヴィジョンを音に落とし込みました。通常は自分たちの演奏を曲にまとめてゆく流れが多いのですが、閃きと旅で感じたものだけを頼りにゼロから音楽にしてゆくという創り方は初めてで、新鮮でした。言語にも執着せず、日本語、アイヌ語、琉球語などを直感的に並べています。ハラ = 原 = 原野と万象の輪廻を讃える曲です。



tr.4 Sign of Love と tr.8 Dragon Fallsは完全即興演奏です。どの楽器から始める、ということも決めません。もちろんメロディも組み立てられた歌詞もありません。2011年の'Wonderful World' 制作以来、アルバムのタイトルだけが決まっている状態から、まず即興で録音をスタートさせるという流れを取っています。タイトルによってチューニングされたメンバーそれぞれのイメージや響き、グルーヴ、言葉などを即興で一気に放出します。演奏はたいてい30分くらいに及び、それを聴き直し、ココと思う10〜15分をトリミングし、必要であればコーラスなどのダヴィングを加えて曲の体(てい)に仕上げる訳です。今回も 'SIGN OF LOVE' というキーワードだけが決まっていました。録音初日、最初の即興終盤が 'Sign of Love'という曲に、録音3日目、昨年夏に長野で観た雷滝という大瀑布の話をした後に演奏した最後の即興終盤が 'Dragon Falls' と名付けられました。



自分のフォルダから音楽を放出するとき、即興演奏でしか開かない回路や '並べ方' のようなものがあるような気がしています。予定調和を排除することで生まれる集中と感覚。それらが産み出すシンクロ。そう言った緊張感を楽しめることが自分たちの音楽の鮮度を保っている秘訣なのかもしれません。同時にひとつの曲を味わい尽くすように繊細に演奏することも大好きです。両輪のバランスが整ったアルバムになっているかなと感じています。











― ではアルバムのタイトル曲である'Sign of Love'が予め決まっていて即興での演奏、録音に入ったということですね。キーワードである'Sign of Love'という言葉にはどのようなメッセージを込めたのですか。



az3 : はい。すべてのアルバムのタイトルはいつも録音前に決まっています。だいたい夏ごろにメンバーに発表します(笑)音の旅とそれを取り巻く環境がキーワードを投げてくれるのです。わたしはそのいくつかを感覚的に絞るだけです。そうして冬の録音に向けて各自全方位的にチューニングしてゆきます。ラビラビにとってタイトルはメッセージではありません。そのときのシンボルのようなものです。歌詞そのものも、メッセージを込めて創ろうとしたことはありません。



― なるほど、込めないというのは意外でした。なぜメッセージを込めようとしないのですか



az3 : メッセージを込めることにも、込めないことにもこだわりはありません。音楽はメッセージの前の存在だと感じています。ラビラビにとっては波動。愛の放射です。でもそれによって愛が伝わってほしいとも思っていません。すべては受けとるヒトの自由です。











― ラビラビの演奏は‘縄文トランス’と形容されてますが、遠く昔である縄文を意識しているのはなぜでしょうか。



az3 : 縄文トランス'は自分たちで形容/カテゴライズしたものではなく、ラビラビの演奏を観てそんなふうに感想を述べてくれた名付け親がいるのです。そのネーミングがなかなか言い得てるなと感じて使わせていただいています。名付けてもらう前も後も、'縄文'を意識して音づくりをしたことはありません。ただラビラビ=縄文とプロファイルされていることで言霊が魅き寄せる演奏の場やパーティは数多くあります。列島のなかでも長野県や青森県で演奏する機会が特に多いことがそれを物語っているような氣がします。



そういう場所にはかならず縄文マニア(笑)のようなヒトビトがいて、わたし自身は縄文時代そのものより、彼らのように縄文へ想いを馳せ妄想を膨らますヒトビトを観ているのがオモシロイと感じています。廻らせる妄想のなかに、縄文という時代のエッセンス/神秘が見え隠れしているような氣がするからです。




― 感覚的な質問かもしれませんが今回リリースされたSIGN OF LOVE、Song of the Earth、ライブパフォーマンス等に自分は一貫して“祈り”を強く感じました。ラビラビにとっての“祈り”とはどのようなものでしょうか。



az3 : 道に伏(まつ)ろうことです。



― 伏ろうとはどのような事を指すのでしょうか?



az3 : 長い間さまざまなバンドで活動を続けてきて今のメンバーになったとき、わたしにとって今生で最強のメンバーだと分かりました。そのときから、脳裏に描き出されるヴィジョンの中を全力疾走してみようと決めました。愛と音楽に導かれる旅の道。わたしがラビラビの活動で軸にしていることは、メンバーの2人がこのバンドをやっていて(道を歩いていて)オモシロイと感じることを繰り出しつづけることです。



道を究めてゆくものには、ある様式美のようなものが現れます。武道、茶道…などすべてそうです。型、形式という意味ではなくその道にまつろって初めて際立ってくる美しさ。まつろうとはつき従うことです。



そういったことを自分に約束する。約束してその道を歩いてゆくこと。それが祈りだと感じています。祈りはお願いごとではありません。カミサマへの頼みごとでもありません。願い(ビジョン)そのものになりますからね、カミサマ。と、天と契約するのです。そう言う意味での'祈り'をラビラビの音や動きから感じてもらえたならうれしいですね!



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― 2015年3月11日福島県の子供たちへの基金を目的としたチャリティプロジェクトとしてSong of the Earthをリリース、今年3月29日には'Song of the Earth RELEASE PROJECT presents -福 fukujitsu 日- #1'を行われましたがどのようなものになったのでしょうか。








az3 : チャリティが目的というよりも、地震によって生まれた唄は、震災によって引き起こされた傷みへ還元したいという想いがありました。何かを鼓舞したりするものではなく、人間や、人間以外の生きものや、地球そのものにも静かに染み込んでゆくイメージです。





地震の唄が生まれる。それを聴いた人びとが涙する。その涙を集めてCDが作られる。CDはリリースされ売上げは福島県の人びとへ注がれる。熊本,大分県が揺れたとき、最初にラビラビに支援金を託してくださったのは福島県の方々でした。


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CDをリリースするためのプロジェクトを立ち上げて1年7ヶ月、この唄は静かに染み込んでゆくというよりは、まさにあの311の揺れのように実にゆっくりと温かい想いを波のように運んでいるんだなと感じています。


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今年3月に開かれた '福日' は、CDの売上げの用途を福島県在住の方ひとりひとりに具体的にお聞きし、ダイレクトに反映させ、子供たちへのワークショップや全国から寄せられた安心,安全な食材などのふるまい、'Song of the Earth' 参加アーティストによるライブなどをお届けしました。2011枚のCDが完売し、最後の1枚分の基金が福の日となって被災された方々に届くまで、続けてゆきます。


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