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2015年12月、JUZU a.k.a. MOOCHY、5年ぶりのアルバムである「COUNTERPOINT X」、「COUNTERPOINT Y」が自身が主宰するレーベルCROSSPOINTよりリリースされた。さて、インタビューを行ったものの、困った事に未だにこのアルバムを形容する言葉が見つからない。久しく無い感覚である。どんな言葉を持ってしても、それは意味を成さないとも思う。本作品との直接的な関係は無いが先日たまたま開いた本の1ページに記されていた言葉を引用させて貰うことにしよう。

いわゆる「未開」の部族民たちに何が起こっているのか、ぼくは強い関心をいだくようになった。
かれらの音楽がもつ複雑さは、その社会の豊かさの象徴であると思う。
かれらの音楽を聴けばみんな、こんなにも複雑で知的な音楽を作り出せる文化が、「未開」であるはずがないと思うにちがいない。
ブライアン・イーノ (イギリスの作曲家 1948~)

「未開」の地に自ら赴き、様々な経験を経た氏の内面的、外面的な宇宙観。それに興味津々で触れる24歳の筆者との対比が織り成す2時間超の対話

聞き手:山口 賢三


J:=JUZU a.k.a. MOOCHY (NXS / CROSS POINT)
K:=Kenzo Yamaguchi (KALAVINKA MUSIC)


K:今回はインタビューさせて頂きありがとうございます。宜しくお願いします。

J:宜しくお願いします。

K:まず、ムーチーさんにとってのワールドミュージックの魅力とはなんでしょうか。

J:元々打ち込みとかが入っていない音楽としてのワールドミュージックに関心を持っていたから魅力というと、今自分が生きている世界と違う世界があるんだなってとこが最大の魅力かな。それはエスケープ(逃避)という要素もあると思うけど、単純に興味深いっていうか。自分自体が土着的な文化があまり感じられない状況で育ったからか、民族感、部族感みたいなものに惹かれていたのもあると思いますね。

例えば1番最初に聴きたくなったのはバリのガムランとケチャの世界で、あれは自分の生活とリアリティがない部分もあるし。20年前に行った状況で第三世界って言われるようなインドネシアだったけど、凄く精神的に深いものを感じれました。いわゆる日本で日常的に聴こえてくるポップスみたいなものからは違う異質なものとして凄く魅力的でこんな世界が存在するんだって思って。

K:知らない世界。

J:自分が生きている世界と違う世界

K:そこに興味を持ったっていう。

J:そうですね。それがワールドミュージックの最初の魅力かな。遠ければ遠い程良いって訳では無いけど、美しいな、かっこいいなと思う音楽や芸術は遠い所により興味をそそられるのかもしれない。

逆に『青い鳥』の話じゃないけど、外にいろいろ求めていたものは内にある、という様な話もあるので、日本やアジアのものに、自分に近いものや、内面に眠っている様なものにも感動するから邦楽器、例えば今回でも演奏してもらっているお箏や三味線、日本語の美しさ、気高さみたいなものにも対極的に惹かれるものもある。それも自分の中ではワールドミュージックだと思うし、そこに魅力も感じる。

K:昨今の中東情勢やクルド問題等、世界情勢ともリンクしているように感じますが、それに対して楽曲に込めたメッセージのようなものはありますか。

J:うん。やっぱり無いとは言えません。具体的にどうすれば良いとか、そういう単純な事では無いと思うけど、例えば中東情勢に関して、自分はエキスパートでは無いけど、そういうエリアの国々でレコーディングを重ねていった流れで、凄く共有する感覚はあります。具体的に現地の政治や社会、歴史の話はしますし、それは日本で起こった地震や原発の、放射能の事も含め、日本の歴史等も知っている範囲で逆に彼らに伝えたりします。

メッセージっていうのは、FAR EASTな、極東の日本でも宗教や民族を超えて何か凄く音楽的なシンパシーとか文化的なシンパシー、あとリスペクト(尊敬)を持っているっていう事を伝えたいということかもしれません。遠く離れてしまったけど、源流を辿れば僕らは近い種族だと思うから。自分なりの表現でLOVE FROM FAR EASTって言うのはまさしくで。日本語で言えば『極東からの愛』とクサくなりますが(笑)昨今の安倍政権含め、欧米中心的な考えではなく、それぞれの民族性とか文化とかをリスペクトして繋がっていきたいという様な試みがあります。



個人的な言葉にすると頑張って、とか、応援してるよ、とかにしかならないかもしれないけど。でもそういう事だけじゃないっていうか、それじゃ言い切れない事は曲によってもありますね。

K:様々な国に足を運び、音楽活動を続けていく中で何か確信めいた事、何かそういう事ってありますか。

J:それはすごくいっぱいあります。例えばキューバで体験した社会主義というシステムの中での生活する人々、セネガルで体験したアフリカの奴隷制によって破壊された独自の美学や価値観を復活させる大きな要因になった(土着化した)イスラムの雰囲気、トルコの東の果てで体験したクルドの人達の熱い魂。その生の言葉を聴くことで国家そのものに翻弄される民族という事を考えさせられたり。スペインによる傀儡政権が続くメキシコでサパティスタというマヤの末裔達が決起して政府に武力闘争をして、ひとまず成功したコミューンに行って、彼らの現実的な生活や、その場所の寒く、深い霧の記憶、そういう事も含めて、この世界で生きる人達の不変な想いを確信します。









共通して人間っていうのは男がいて、女がいて、年寄りがいて、子供がいて。そういう所に音楽があって。その中で宗教や政治はどのように関係してくるかは個人で違うと思うから一概に民族として、国としてって言う事は不可能に近いと思います。

今回は今まで以上に、イスラム的な国に行っています。ニューヨークやメキシコやインドネシアでもムスリムの人達と逢っていろいろと話し合いました。残念ながら社会におけるプロパガンダとしてのイスラムのイメージの悪さは加速していますが、2011年に出したDVDでラティールが語った言葉の様に『イスラムは悪い宗教じゃない』と思います。

JUZU presents Movements"Beyond"Trailer from takamiya on Vimeo.



ただ宗教に関しては究極的に一個人の話だから、どの宗教に入ればいいって事では無いと僕は思っています。でもイスラム教だけに限らずなにかしらの宗教の中で生きている人達と触れ合って、信じる人達の強い精神力を体験させてもいました。

K:そのような体験がアルバムの内容を作り上げたんですね。

J:そうですね。イスラムの言葉でインシャラーって言うけど何か導かれたみたいな。レゲエ用語で言ったら(笑)ガイダンス。よく言われるけど現在の地球に住む人類の1/3がイスラム教で、そこにも密接に関係している(旧約聖書や土地柄など)ユダヤ教、キリスト教を含めたら4/5くらいが、その考えを持ちながら生活している『世界』に生きているわけで、日本の現在の価値観だけで生きていたら、感じ得なかった事がそれらの国に行く事で、自分のリアリティーとなっていったんだと思いますね。

レゲエの発祥の地ジャマイカで体験したラスタの儀式でも原始キリスト教的な価値観、キューバで体験した逆隠れキリシタン的なアフリカ土着信仰サンテリアでの体験もその信仰からくる巨大なパワーは無視出来なくなりました。

冒頭の曲RISE AGAINに使わせてもらった言葉『イスラムというものが私の人生を導いてくれた』という様な内容と、最後の曲LOVE FROM FAR EASTでの18世紀にモロッコ、チュニジア、スペイン、アルジェリアなどマグレブと言われるエリアで流行したアラブアンダルースという音楽は、その音楽がテーマにしている『民族や宗教や国境を越えて人が共存する社会』というものにも共感、感動しつつ、自分たちはアジアからそれを伝えるという少し壮大な(笑)夢を夢想しています。


K:それでは今回リリースしたアルバム「COUNTERPOINT X,Y」それぞれのコンセプトは何でしょうか?





J:まず現実的に、アナログレコードという表と裏という形態があるフォーマットで、9ヶ月連続でリリースした結果、それをまとめたのが今回のアルバムで、それをそのままそれぞれのX,Yという状態で出す為に必然的に、収録時間の問題も含めCDを2枚出すという事になりました。

COUNTERPOINTという意味は西洋クラシックで使われる『対位法』という作曲法なのですが、先述している通り、物事を対極的にみてものごとを考える、みたいのは元々個人的にも好きでした。その言葉のタイトルで次作を作る事は『MOVEMENTS』という5年前に出したアルバムを仕上げていた時には、すでに念頭にありました。

MOVEMENTSというのは運動、人自体の運動(体操みたいなものやダンスも含め)もそうですし、人々の運動をいうのもあると思いますが、今後みんなが求めるものなんでは?という問いかけもあり、アルバムの中に、それに対する『心構え』みたいなものを書きましたが、そういう動きを感じていたというか表現してみました。

それをリリースした半年後に3/11というショッキングな事件もあり、個人的にもいろいろアリ(笑)、まさしく自分自体の事と世間での動乱がまさしくシンクロしまして、、(笑)その上でどうやってこの世界をサバイブするか(生き残るか)みたいな事は物事の極を観て、その対比の中に中庸を取るというような生き方が全ての人にとって有効なのではと思いました。なので5年前には自分では理解しきれなかったCOUNTERPOINTという意味を噛み締めながら(笑)作業を続けていましたね。

K:具体的にいつから制作がスタートしたのでしょうか?

J:コンセプトは2010年夏には決まっていて、そのあと2011年2月にセネガルとトルコでレコーディングしたところから始まります。すでに3/11以降にリリースしたDVDの作品『MOVEMENTS Beyond』という作品でそれらの音源と映像は使われているので、そのDVDの作品の延長線上にあるとも言えます。ベーシックなトラックそのものは 随分前に作ったトラックもあるし、ベーシックな骨組みのようなものはあったけど具体的な肉付けがセネガルから始まったってことですね。

K:骨組みっていうのはムーチーさん自身が作ったトラックの事ですか?

J:そうですね。ドラムとベース、メロディーだったりは、なにかしらのレコードやCDからサンプリングして、そこからリズムやメロディーを組んでいったり、その音源が持つムードから曲を作っていったりもします。まったくのサラからギターやピアノなどの楽器から作曲するというのはあまり無いですね。コラージュに近いと思います。

K:実際に演奏してもらった素材はそのまま使っていきますか?

J:いや、それは演奏者次第でもありますが録音させてもらった音の10パーセントも使えなかったりもあれば、ほとんど使う事もあります。でも全くエディットが無いって事はほぼ無くて、全部何かしら切り刻んだり、修正をかけたりはピッチも含めてしてます。

K:なるほど。ちなみに今回の作品でムーチーさん自身が使ったサンプルネタって例えばどんなものがあるんですか?

J:それはもう半端じゃなく広範囲ですよ。常に買ったり借りたりした音源の細かい箇所も聴いています(笑)それこそヒップホップもあればレゲエもあるし、ジャズもあれば現代音楽もあるし、ロックもあれば民族音楽もあるし。ハウスとかテクノはサンプルとして使ったことはあまりないけど、やはり民族音楽からのサンプリングは多いですね。イマジネーションを掻き立てられるというか。

K:今回のアルバムに収録されている楽曲の中にもムーチーさん自身がサンプリングした素材も含まれているんですね。

J:例えばSHADOW DANCEっていう曲の最初の声、女の人の声はウム・クルスームの声をちょっとだけピッチを変えて使ったりしました。



あとLIGHTって曲の最初のイントロとか所々で使っているのは100年くらい前のアラブの音楽。



具体的にはチュニジアなのかな。LOVE FROM FAR EASTもチュニジアの歌を使っていたりする。



K:なるほど。

J:ちなみにLOVE FROM FAR EASTに関してはキューバで録音したパーカッションなりベースなりピアノなりをひたすら編集している最中にたまたまかけていたチュニジアの音楽が異様にハマって。それをPC上で当ててみたらやっぱりハマってそこからアラブアンダルースという音楽が自分にとってリアリティーを増して、近年活動をともにするアラブヴァイオリニストの及川景子さんに相談し、ラテンとアラブを繋げるメロディーをスコアに書いてもらい、多重録音してオールドスクールなアラブストリングスを作りました。

K:そういった過程で1曲が出来上がっていくわけですね。今回のアルバムの中で自身にとって重要な意味合いを持っている曲を教えて下さい。

J:一番重要だったというかハードルだったのはLIGHTって曲です。CDだったら8曲目。



K: アナログEPだと7inchでリリースした曲ですね。具体的にどういう意味合いでハードルだったんですか。

J:あの曲に関してはDJ的な言い方をしたらロービート的なトラックなんですが、今までそういうダウンテンポ、ブレイクビーツ的なものはチャレンジはしてたんですが、もろヒップホップみたいなものは性格的に天邪鬼だからか(笑)やりたくなくて。でも何かしら自分の中でしっかりとそういった部分を感じつつ、そこに対してレスポンスしたかったんですね。LIGHTっていう曲に関してはそこにプラス今回のアルバム全体のテーマになってもいる古代文明、古代の感じを入れたかったんです。



ONENESS CAMPを一緒にやっている、縄文のエキスパート、ジョウモニズムの草刈さんって人から言われたのは、文明っていうものはピラミッド構造的な社会構造になるけど、縄文の社会っていうのはそこまでシステムが形成されていなかった。だから縄文に関しては、古代文明とは言わない。文明っていうのは支配の構造があるっていうところだと。

だから途中で古代文明っていうのはあまり自分のコンセプトでも無いのかなっていうのを、自分自身草刈さんの意見からも感じたんですけど。それを踏襲しても何千年前、例えば3000年前とか10000年前とか、人間の歴史を遡ると、いわゆるトンデモ話みたいなとこっていうのも意外と否定できないって常に思っていて。

例えばエジプトのピラミッドみたいなものも含めて結局一体あれは何なんだっていうのが明確にわからないまま廃墟になっているものも多くありますが、自分はそういうことに元々関心があったんですけど、民族音楽みたいなものをより深く聴いていくと、どこまで起源は遡れるのかなって思うんです。今回のコンセプトには『温故知新』というか、過去を掘り下げる事によって未来を創造するということがありました。

だから今の流行りを意識するのではなく、太古をイメージする事で未来的なものを作りたいと思っていたのでLIGHTはそれがハードルでした。何千年前やら何万年前、別に具体的な数字じゃなくても何かそういう本当に古いヴァイヴを出せれたらなっていうのがあったんです。。それがLIGHTは今までにないようなチャレンジをしたので、重要かなっていうのがありますね。

K:古い、古代的なアプローチを形に出来たってことですか。

J:自分なりには。

K:なるほど。今まで縄文と再生って言葉で表現した事もありますし、今回は古代って言葉が出てきたと思うのですがムーチーさんが古い物事の起源、ルーツみたいなものにすごく興味があるのは何故でしょうか。

J:やっぱり自分自体がどこから来てどこに行くっていうのも、例えば自分自体の先祖を知りたくなる様に、一人間として興味が沸きます。日本人とか人間とか…まあ日本人っていう認識はグラデーション過ぎて、日本のパスポートを持っているかどうかって事でしかないと思いますし、楽器の起源とか政治とか金融や社会、産業の成り立ち、そういうものに関しても、それは避けては通れない社会の流れとして興味を持ちます。

例えばSF映画とか小説の様な世界も好きだったんですけど、小学校低学年に、赤塚不二夫って漫画家が相対性理論を説明している漫画みたいな本があって、バカボンのパパやうなぎ犬がアインシュタインとやり合うみたいな(笑)。それを何故か手に入れて読んでたりもあって宇宙の成り立ちや、この世の中はどういうものなんだって関心は凄くありました。今の現実、自分が見ている、生活している現実はどこから来たのか。それは関心がありましたね。

K:なるほど。アラブ音楽講座の時に印象に残った話で黒人がいて白人がいて。仮に黄色人種である日本人がその中間という位置づけにしたらそれを繋げるような役割。というような話をしたと思うんですけど、そもそもの日本人のルーツって何だと思いますか。

J:太陽が昇る所、東の果てってよく日本は言われていて、それはFAR EASTっていう形で表されていて。例えば諸説の中で多いのは、アフリカを起源にした人類の流れで、太陽が出てくる場所を求めてひたすら歩いて海を航海した先の日本が一つの終着地点だとも言われますよね。

日本からまた更に海を越えて、カナダや太平洋を経由して北米から南米に下っていった人たちもいるから日本は本当の東の果てではないと思うけど、基本的に地球は球体だって言われているから東も突き詰めれば西にもなるし、ぐるっと回りますよね。

大陸を移動するっていう事を含めたら、東の果ての日本っていうのは、いろんな人種が何千年も何万年もかけて東の果ての太陽が出るところを追い求めた馬鹿どもが行き着く先みたいな(笑)。もうそこにいればいいじゃんって周りが言いうのに、いや、俺は東の果てを見たい!みたいな(笑)輩が集まる場所というか。太陽をひたすら追い求めた先が一つ日本っていう島で、その果てだって感覚をもったのがこの日本って島だと思いますね。

K:アフリカを起源って説で捉えたらって事ですね。

J:フィリピン、中国、チベット、ハワイ、そういう至近距離からの影響も勿論関係あると思うし、日本は言わずもがな北から南までもの凄く長いから、その文化圏っていうものも一概に日本人として全部一緒くたにする事自体もものすごく暴力的な感じがします。全く違う人種が北と南にいるとも言えるし、それはそれで何千年って単位の中でも交流もあるし、同じ言語を喋るってとこだけで、日本人とかって考えを持つのか持たないのかっていうのも日系ブラジル人のような人を日本人として捉えるか、そういう意味では何とも言えないと思います。人によって違うとも言えますよね。

縄文は歴史の名称として一番古くて、1万年前。もっと言う人は3万年前っていう人もいるし、少なくとも1万年前まで遡れる縄文の遺跡があって、そういう部分で言ったらこの島には長く居住しているし文化もあるし、割と古い島だと思います。

ちなみに自分のバンド名であり、会社名?にもなっているNXS(ネクサス)の文字はN(北)とS(南)がX、交錯するという意味があります。


K:アルバムの楽曲の前後を全て繋いでいますが、前後を途切れなく繋いでいるのは何故ですか。

J: 曲間を繋げるっていう意識は元々あって。具体的には、アナログで単発でリリースした各曲のイントロとアウトロっていうのは、何かしらのその繋ぎの部分として機能するイントロとアウトロを作っていました。

K:次の曲に繋げるって意味ですか。

J: 100%完全に想像通りではないけど。DJ的だけど曲の始まりと終わりが妙にハマる瞬間は今まで何百回も何千回もあって、自分の曲に関してもそこは楽しみの一つというか。どういうミックスが出来るのかっていうのは、ある程度想定はしていたのですが、実際に完成したものを並べた時は自分でも興味深いなと思えました。

K:DJ的な視点ですね。

J:でもDJをやる前中学生頃から、好きな曲をミックスはしてないけど、コンパイルしてカセットテープに入れて、自作のテープを作っていました。曲の構成で勝手なストーリーが出来るのが楽しかったんです。

例えば中学2年の時にPRINCEのLOVESEXYってアルバムをテープに録ってひたすら聴きながら、西村京太郎って人の小説を読むみたいな事を1年間ぐらいずっとやっていた気がするけど、そのLOVESEXYってアルバムとか、LIP CREAMっていうハードコアのバンドとか、曲間が繋いであるアルバムっていうのは中学生の初期ぐらいに感化された部分もありますね。DJがどうこうっていうよりかは、長時間音楽を聴くのにストーリーを感じたいという。

K:その延長線上っていうことなんですね。

J:例えば本を読みながら聴く事で読んでいる本がより色鮮やかになるっていうか。そういうストーリーを創造しながら音楽を聴くのはもともと好きかもしれないです。


K:今現在注目している音楽はどういうものがありますか。

J:注目している音楽。。自分もやっているからどこを追いかけるとかではないけど、この前来たYAKAZA ENSEMBLEとかも含めて



何かしら古いものと新しいものを融合させて、その場所なりに何かを表現するっていうのは興味深く思っています。だからワールドスタンダードみたいなもの、テクノとかフォーク、ポップヒップホップみたいなものもマジョリティとしては影響力も有るし実際にレベルの高い音楽もたくさんあると思いますが、十二音階マスターしなきゃとかダンスレッスンしなきゃとかじゃなくて、その人の生活とか生き様が滲み出て、今、ここに生きている事を表現する、社会に対して何かしらメッセージを投げかける様な音楽。そういうコンセプトが有る音楽をぜひ聴いてみたいなと思いますね。

K:マジョリティとしての音楽が存在する中でワールドミュージックに対し強い意志を感じますが何がそこまで自分自身を駆り立たせてくれるのでしょうか。

J:実際にはワールドミュージックという曖昧なジャンルにフォーカスを当てているわけではありません。どこのジャンルにも行けなくて、そこが曖昧だから、いやすいだけとも言えます(笑)色んなジャンルに対して、もっと言えば様々な価値観に共感を持ちたいと思ってはいるので、アニソン(アニメソング)でも何か共通項見出そうと頑張っています(笑)自分の中では分離したものとして捉えたくないんでしょうね。

マイナー志向やマニア志向があるわけでもなく、ただやりたいようにやれば良いとも思っていないんです。例えばCDとかコンサートでも、お金が介在して商売として、それなりの収益を得ないと、その活動は維持しきれない。よっぽどなスポンサーがいるなりしないと。だから現実的な部分で、マジョリティのポップスやテクノも全然無関係ではないし、むしろ積極的に色んな所にはコミットしたいなと思っています。

だけど音楽にそういった現実的な評価や金銭的野心が目立つと響かないですね。マネージャーやレコード会社を食わせる為にヒット曲を作らなきゃ、みたいになるのがメジャーはお金も大きく動くので匂いますよね。良くも悪くも。自分の中ではそういうものとは違う音楽の深さ、魂に触れる様な、そういうものは大事にしなきゃいけないって思っています。あと単純に聴いた事の無い音楽を作る事に携わりたいとも思います。創造したいんです。

それには人との出会いが重要で、近年だと及川景子さんやラティール。そういう人達との出会いっていうのは、今回のレコーディングのきっかけにもなっています。次はアフリカだとか、ラテンだとか、アラブだとか、そういう狙いがある訳では無くて、彼らからの誘いもあったりとか縁があるんですよね。例えばトルコでDJやらないかとサラーム海上さんから紹介され、イスタンブールでDJした流れでYAKAZA ENSEMBLEと知り合うとか。トルコを狙っていた訳じゃなく、トランジット(中継地点)で立ち寄っただけだけど繋がりができてしまって。

自分も今までレコードや音源をひたすら掘ってきたので、レコードやCDをアマゾンやらレコード屋で掘りまくる事が無意味だとは思わないんですが、現実的な出会いから、いつの間にかそういう現地の人たちと音楽を一緒に創るという喜び、快感を知って、それはすごく中毒気味かもしれない(笑)

外人だから良いとかいう訳では全くないけど、自分も日本で同じ言語を話す人達とバンドをしたり、レコーディングをしたりっていう事をやってきた上で、初めて会う、言葉も通じない、見たことも無いような、自分が弾けないような楽器とか扱う人たちと音楽をその場でああだこうだ言いながらレコーディングして仕上げていくっていうのは、相当スリリングかつ感動的です(笑)

K:特に強い意志を持ってこうしなくちゃいけないっていうより、楽しいからひたすらやっている感じですね。中毒になっているって言いましたが。

J:でも レコーディングしている時は最高に楽しいのですが、編集している時はもう死ぬほど辛い(笑) レコーディングするだけであれば楽しい体験だけど、それを仕上げるっていうのは本当に辛いからトータルで見たら楽しいだけでは全く無いけど、意志っていうことで言ったら、作品を仕上げるというのには強い意志が必要ですよね。

プラス今回出した作品は前作よりDJでかけること、フロアで爆音でかける事が可能な音も意識していました。吉祥寺のDJバーCheekyでやっているMOMENTOSっていうパーティーではアフリカの音楽からアジアの曲に繋いだり、打ち込みと生音とかは縦断、横断しています。



そこで繋ぎ目になる曲を作りたいっていうのもありました。COUNTERPOINTとか古代とかっていうものも、一つ現実的な落としどころとしてDJでも成立する。レコードというデータではなく、物質にするっていうのも含めて、使えないと意味が無いし、目的として現実的な機能面も重要ですね。少なくとも自分が使えて、使える人もいたらいいなと思います。実際自分でこれどうやって使うんだって思う様な曲も(笑)DJの人達はそれぞれの独創性の中でその曲を取り入れて、それぞれのストーリーに組み込んでくれるのも楽しみの1つですね。

K:人がかける自分の曲。

J:でも自分だけの曲とかは思いづらいですね。確かに自分が想いを持って作った曲だけど、自分の声が入っている訳では無いから微妙に客観性も有るっていうか。

K:人も多く参加しているっていう部分でも。

J:そう。そのミュージシャン達をまた思い出したりとか。良いもんです。


K:今回のアルバムはXとYっていう2枚別々になっていますね。Xが進化への扉っていうタイトルがついていてYが真実を奏でる音楽の世界。今回はXの進化への扉っていうサブタイトルの意味合いを聞きたいなと思いました。

J:この言葉に関しては後付けみたいな感じで、以前MOMENTOSというアルバムの帯の文を書いてもらった元WARPマガジンの吉岡かなさんに、今回のアルバムが仕上がる直前にやっぱりコメントを貰いたいみたいなこと伝えて、彼女も忙しい中アルバムを聴いた上で文章を送ってくれて、その出てきた言葉の名詞や動詞を自分なりにカットアップしたので、音楽を表しているというよりか、回り巡って他者がイメージした言葉の綾を繋げたっていうか。

製作中にYAKAZA ENSEMBLEとちょうど数ヶ月前にツアーをしていて、こっちがアラビア語を、美しいと思うように彼らも漢字とか日本語を美しいと思っていると改めて再確認出来ました。そういう客観的な視野で日本語のかっこいい言葉。例えば『禅』とかってちょっと恥ずかしくなる様な言葉も、海外から目で見たら凄くいい言葉じゃんっていうのが結構あって。真実とか扉とか自分でも偉そうなこと言うなとも思うんだけど(笑) それをあえて入れることでまた海外にいる人であったりに対して面白がられる部分もあるのかなと。

日本語が持つ言葉の魔術みたいなものってやっぱりあると思うから、言霊っていうか、そういうところもせっかくだから入れたいなぁと思って。でもあれが中核ではない。ただ、そんな音楽になったらいいなとは思うし、自分の子供に名前をつけるような感覚で実際そうなるか分からないけど、うん。まあ願いとかもあるかもしれないですね。

K:なるほど。僕が以前ムーチーさんから個人的に聞いた話になるんですけど、人類繁栄っていう話。そこにリンクする進化への扉かと思っていました。

J:人類繁栄は重要な言葉だと思います。人類繁栄っていうことで以前Shing02とKURANAKAと討論になったことがあって、人類繁栄って他の動物とかを無視するってことですか?みたいな感じで問いつめられたけど(笑)そういう事じゃない。人類が繁栄するためには他の生命体とか環境とかに配慮しないと生きていけなくなるから、それも含めた人類繁栄っていうのが自分の中でいいんじゃないかと。



別に今回帯に付けたタイトルっていうのはその人類繁栄という言葉と連動して考えてはいませんでしたね。でも自分が意識していないだけで繋がっている部分もあるのかもしれないです。さっき言ったようにあの文っていうのはやっぱりカットアップで、挿絵みたいな要素というか。

K:YAKAZA ENSEMBLEとの経験というか。

J:それもありつつ、『真実』とか『扉』とか『奏でる』とか『進化』とか『音楽の世界』とか、ちょっとした呪文のような所もあって。これらの言葉から連想する、その熟語を見るだけで何か勝手にイメージしちゃうみたいな、それも面白いかなと思いましたね。

それって進化って意味を考えていなかったらイメージもわかないと思うし、どこまで具体的に考えているかって事もあると思います。扉ってモノをどういうふうにイメージするか、奏でるってどういう事なのかとか、そういう文字からくる想像力を掻き立てる事が言葉ならではの表現かなと思います。


J:逆に今回のアルバムを聴いてケンゾー自体どんな印象だった?

K:EPの話になるんですけど毎月僕が店に入っているときにCOUNTERPOINT EPが届いてきて、それで本当に毎回ヤられました(笑)

J:(笑)

K: 物凄くかっこいいなって思っていて。でも、もはやかっこいいとかそういう感じじゃなかったんですよね。聴く毎にこの1曲が鳴るに至るまでの過程というか、物語とか凄い想像力を掻き立たせられてグッとくるものがあったんですよね。昨今の世界情勢とかそういう部分も含めて。印象に残っている思い出があって、実はクロスポイントでDJした時にムーチーさんのDJの次に僕がやったじゃないですか。その時DJする前にマイクを持って喋ろうかなって思っていたんですけどその時言いたかった話で、LOVE FROM FAR EASTが店に届いた時に自分でも全くわからない感覚なんですけど、カラヴィンカの階段を誰か上ってくる音がして誰か来たなって時に何故か身震いみたいなのがあって。あ、これ来たって思って。で、届いただけで感動して、高揚感っていうか。

今考えると8ヶ月毎回コンスタントにヤられていたからその締めが到着するってもの凄いものがあると思うんですけど。それですぐに封を開けてまずジャケットを目にしたときにその美しさに感動したんでしょうね。見ただけで気持ちが高鳴る感じというか(笑)そういう状況になってクレジットをひとしきり見て即針を落として。泣きましたね。店で一人。(笑)

J:まじっすか(笑)

K:LOVE FROM FAR EASTを聴いて泣きましたね。今までには無い感覚で、一人でレコードを聴いたただけといえばそれだけなんですが、物凄く印象に残る音楽体験でした。何というか、僕自身が今回の一連のリリースで強く感じたのは、楽曲の具体的な部分はあまり大きな問題じゃなくて、ムーチーさんがとんでもなく強い思いで音楽と人と向き合って楽曲を完成させて月一っていうハイペースでリリースして。それをこの場でこういう形で再生できた、その過程というか、果てしない姿勢に感動したというか、人間味というか。今回の一連のリリースで僕の中ではそこが凄く重要でした。

自分自身の音楽に対する変化みたいなものも現実的に凄くあって、例えば聴き方とか。現場で人のDJを聴く時とかは鳴ってる音よりその人のヴァイヴみたいなものに惹かれるようになったし。楽曲のミックスが誰がとかどこの国のどういった楽器が使われているかっていうのは凄く失礼な言い方になっちゃうんですけど今回自分の中ではあまり大きな問題じゃなくて、人の想い。想いって言う部分で凄く感動しました。

J:ありがとう。

K:偉そうに、すいません。(笑)

J:今そう言われるとやっぱり暑苦しいくらい(笑)、想いっていうのはあって。僕は太陽光発電を去年の5月まで、2年半太陽光発電だけで、電力会社からの電気は一切使わず、東京で生活していたんです。つまり、この制作の半分は太陽光だけでやっていて、それはそれはすごく大変で(笑)この何千万人かいる東京で、勝手に(笑)単独で停電しながら、PCを使って作業をして、生活をしていたんです。あれでいくらぐらいかかったのかな、60万以上かかって、結局マンションの住人の反対があって、太陽光パネルを屋上で1人だけ使うのはずるいみたいな事で。なんで俺ここまでやってんだろう、バカすぎるなとか自分でも思っていたんですけど(笑)格闘していました。

不動産屋や大家は太陽光発電に肯定的だったんですけど、住民の反対があって結局撤去せざるを得なくなり2年半で終了せざるをえなかったんですけど。

マンションの共有スペースは日本では共有するのではなく、みんなで使わない、という発想になるという事も考えさせられましたね。根本的にエネルギーの事とかシステムの事とかに関して、自分が希望的に思っていたよりも、世間は冷ややかだったというのも痛感しました。

想いっていうのは、責任感とも関係すると思うんです。自分の音楽制作においても、どうせ作るんだったらDJでかけれるものじゃないと意味が無いとか、人が良いってある程度言ってくれるものを作らないと意味が無いとか。その作業を詰めていく上でコンピュータっていう電気を使うものを必然的に使うわけですけど、自分の中で、この社会に想う責任感と、電力会社やら無責任な政府に頼らなければ生きていけないという凄く矛盾したものがあって。3/11で凄く揺れ動いた人は日本でも多かったと思うんですけど、もちろん自分もそうだし。そういう中で想いっていうのは言葉にしえないっていうか、難しい。



3/11も含めて、セネガルやトルコやメキシコだったりの体験っていうのは、今この時代に生きている上でも伝える責任があると思って。それはどこでレコーディングしたとかっていうのはリスナーにとっては重要じゃないかもしれないけど確実に演奏者の息吹みたいなものは入っていると思うから、その現地でのインタビューじゃないけど、その人達の想いを伝えるっていう事は自分にとっての想いとも連動していて。自分が言いきれない言葉をその人たちが語ってくれているというか。

自分でも民族楽器というのは昔から演奏するのも好きで触れてはいますが、特殊な演奏手法だったりして、まともな演奏が出来るようになるまで何年も、下手したら何十年もかかると思うんです。自分の中では楽器のフォーマットが重要なんじゃなくて、そこに生きる人達が奏でるその音、その魂の叫びみたいなものに惹かれますね。

どこの国でもミュージシャンは大変だと思うんですよね。特に民族楽器を取り扱う人達は。社会的にも、経済的にも厳しい状況の中、それでも何か伝えようとしている、その想いに胸が打たれます。録音させてもらった人達の年齢も20代もいれば80代もいるし、その人達のそれぞれの何か息吹みたいなものは無駄にはできないっていうか。それは商売とか、そういったものとは違う次元で背負ってしまったっていうか。その人達に少しの時間でも触れ合うことで、新聞とか本とかでは絶対に触れれないような人間の匂いというか、学ぶところが凄くありました。そういうことに対する感謝みたいなのは凄くありますね。想いというか。責任感というか。

K:僕の曲のイメージですけど。今回はアイヌのトンコリからセネガルのパーカッション、エジプトのミズマールだったり、多くの国、文化圏というものを越えて多様な楽器の音色を響かせて1曲に仕上げる。これは繋ぐって言う部分に共通してくると思いますが、そもそも制作がなぜそういうスタイルになっているのかが聞きたいです。

J:具体的に繋ぐっていう様な意識になったのはやっぱりNXSってバンドとかでやりだしてからですね。ガムランやディジリドゥーやジャンベ等の音がバンド内でぶつかり合い、この混沌とした状況をどうやって成立させるかに翻弄させられていました(笑)でも、そういう中で常に共存させたいと思っていましたね。いろんな民族楽器や現代の楽器や音がハーモニーを奏でると言うか。。

そもそも楽器そのものがいろいろな場所を経由してそこに伝わって、改良、改造されて今に伝わっているわけで、その楽器がその場所だけの完全なオリジナルなものとは言えないと思っているので、様々な民族楽器が1曲の中で出会うのは、決して非現実的な話ではなくて、ある意味必然だと思っているのかもしれません。ついでに言うと、曲1曲が短編小説みたいな感覚で、その短編がまとまったのがアルバムみたいな感覚があるので、演奏者はその小説の中のキャストになるのかな。

K:今回使用されている楽器、サンプル、などの曲の情報的な部分をを曲順に体系的に表にして並べたらそのストーリーはどうなるんだろうって考えてました。音楽の感覚的に訪れるストーリーは勿論感じていますが、何というか、理屈的な部分の話ですが。

J:ちなみに3曲x3=9でその倍の18になっているんですけど、その2つの輪がメビウスのごとく絡まっているイメージはありますね。RISE AGAINとLOVE FROM FAR EASTがSHADOW DANCEとEARTH DANCEがXとYで前後で繋がっているというか。原始的な部分と近代的な部分が繋がるのかな。楽器のアンサンブルにしてもLOVE FROM FAR EASTとRISE AGAINは両極な、原始部族社会と高度な人間社会?みたいな。



個人的に好きな流れはX最後のEARTH DANCEからSHADOW DANCEの流れ、Yの4曲目NIGHT SAILから5曲目のSUFIへの流れはスリリングな感じがしますね。



おぼろげながらストーリーが見えてくると言うか。。船戸与一的な。。ちなみに、SHADOW DANCEから繋がるIXTLANという曲は



『ドンファンの教え~イクストランへの旅~』という本から来ていて、自分の中でも、また重要な曲です。呪術のヴァイブを表現したかったんです。20歳くらいの頃、タロット占い師の友人から誕生日にプレゼントされ、タロットという、人類最初の書物と言われるその呪術性は自分の中では凄く重要で、自分がイメージしているものが、自分の意識そのものが、現実なのだという。他にはどんな曲が印象に残っていますか?

K:HOMELAND、今回のアルバムの中で1番異質な気がしました。なぜでしょうか。



J:単純にあまりアラブ系の楽器があまり入って無いからかな。でも今思い返せば、その曲はまさしく『故郷』というものがテーマで、その分より内面的なのかもしれないですね。

K:感覚的ですが曲の表情みたいな部分かもしれないです。それはPRAYにしてもそうですけど。



J:なるほど。

K:前作とは違うアプローチを感じたのかもしれないです。

J:ちなみに前作から今作で何か違いは感じました?

K:はい。また感覚的な話になりますが意志が強くなったのを感じました。

J:なるほど(笑) まあいろいろありましたからね。ちなみに第1弾のRISE AGAINって曲は、凄く好きなJAH SHAKAとかを頂点にしたステッパーズダブみたいな、前のアルバムに入っているANGKOR WATっていう曲とかもヴァイブ、ノリっていうか、



そういう所は凄く意識していて。ラスタの思想的なものではなくて、実際に自分が参加したラスタの集会で教わった、ナイヤビンギでラスタの人たちと一緒に共有したグルーヴ感みたいなもの、右足左足、右足左足って大地を踏みしめながら踊るんですけど、そのノリっていうのはRISE AGAINでも表現したかったですね。



あとアナログで出した曲の裏面は常にYAS INOUEっていうニューヨークに住むエンジニアがミックスをやってくれて、彼との第1弾目のミックスがSHADOW DANCEだったんです。そこから一発ずつ9ヶ月間、毎月彼と2曲仕上げていったので、1人で作っている感じはしなかったですね。

あとSINKICHIっていうマスタリングエンジニアをやってくれた長い友達。彼ら無くしては完成しなかった。アルバムのミックスをしてくれたJEBSKIも、相当限られた時間の中、凄い集中力でこなしてくれました。彼らは音楽的な内容をすごく理解してくれた上で、最大限の持てる技術、能力を発揮してくれたから、今回のシングルもアルバムも彼らのおかげで意思の強さっていうのも高まったと思います。

ニューヨークと東京、福岡や沖縄と遠い距離でしたけど、深い繋がりがあったと思います。今回も本当に色んな人と携わって、協力してもらって、そうやって関わってくれた人達の意思も凄く影響があるんじゃないかなと思います。

K:もしかしたら僕はそこを感じたのかもしれないですね。

J:ヌビアの人達、エジプトのファラオの絵で出てくるような浅黒い黒人の人たち、エチオピアから繋がる人たち、そこの人達とのレコーディングはすごくて、満月の夜にナイル川のほとりでレコーディングしたり、そういう体験を音楽で語るのは難しいですね。



J:オールインワンシンセ二台で2人が両方ともリズムとベースとちょっとミュオミュオいったシンセ(笑)みたいなのを入れて、どっちがリズムって訳では無い感じで、パーカッション数名とヴォーカル2人とか。自分が近くに寄ってビデオを回していたらいきなりステージに上がれって言われて、ステージ上がっていいの?みたいな(笑)

日本人は自分と陽介っていう仲間と2人だけで他は100%真っ黒なヌビアの人たちで、普通のローカルの結婚式で、どう考えたって自分たちは目立つと思うけど、妙に絡んでくるとか、無視するとかそういうのは全くなくて、本当にいい感じで(笑)。酒とか飲んでいるわけではなくて。

敬虔なムスリムの人が多いから酒が一切入ってないのにハッピーな感じで、基本ドシラフであのパーティー。もうLOFTより全然すげえじゃんって思いましたね。超個人的な比較でしかないけど(笑)あの風船とかパーティー感みたいなものをLOFTみたいだなとも思ったんで。彼らの音は声や太鼓は生なので良いとしても、シンセの音色もプリセットの音だし、打ち込みとかヘボいんだけど(笑)でも凄く良いグルーヴ、いいバイブスがあって普通にちゃんと踊れる。そのグルーヴ感も年寄りから子供まで全員ロックして全員踊りまくってて(笑)。このグルーヴは凄いな、これいいなって(笑)。影響されましたね。

そのヌビアの結婚式で体験したグルーヴみたいなものは、あまりゴツすぎず、タフな感じはありつつ、しなやかだったり、なめらかだったり, そのバイヴスに近い曲はNILEとか。ヌビアの人の声が入っていたりするからヌビアノリが濃厚ですね。



K:なるほど。

J:そういうネタは満載すぎて話そうと思えば朝まで話せる位はありますが(笑)、今回のアルバムでLIGHTとかIXTLANとかPRAYで関わっている、今ロサンゼルスに住んでいるセネガル人のカラモは、いわゆる世襲制の音楽一家グリオの家系で、彼の先祖が800年前のマリにあったマンディンカ王国の王様に捧げた曲をPRAYって曲で弾いてくれたり。800年前の曲だって普通に言われて、びっくりしました(笑)。



K:最高ですね。さっき言った話ですけど、個々の事象に対して凄いな、興味深いなっていうのは勿論有るんですけど、でも僕はやっぱり経験した事無いからそこにリアリティーはなくて。でもいずれ自分もそういった活動をしたいなっていうか、そういうヤル気、元気をもらった感じはあります。僕はまだ海外に行ったことないんですけど、でも今年は縁があってインドに行く事にして。10月ごろから1ヵ月ほど行きます。

J:まじっすか(笑)いいですね。

K:去年すごくインドに呼ばれたなって思うような出来事が何回かあって、それで。今年から年1回位のペースどこかしら海外を回ってっていうのは漠然と考えていて。実際に自分自身がレコーディングをするかどうかはまだ決めてないんですけど。でも僕はムーチーさんの活動っていうのを割と近い位置から見る事が出来てそこで思ったのは素晴らしい世界がまだいっぱい広がってるじゃんっていう所ですね。凄く単純ですけどそこにすごく感動していて、一回の人生だから行ける所は極力行きたいなって思ってますね。

J:きりはないですけどね。全部の世界を知るっていうのは不可能だと思うけど。でも何かしら縁がある、行くべきじゃないかって思うような事があったらそれは一歩踏み出すといいと思いますね。ちなみにインドはどこに?

K:まだ特に決めてないです。去年インドに呼ばれているって思うことが立て続けに起きてそれで漠然と行こうと決めました。(カレーと古本のお店)マノマのナオツグくんにインドの話を聞かせてもらったりして、今自分が行くべき場所だって感じたのもありますね。

J:そういえば多分KENSEI君がまだインドにいると思うけど、いろんな思いがあって行ってるからそれだけじゃないと思うけど、ワールドミュージックっていうのも今KENSEI君にとって重要になっていたと思う。DJ的な事で言ったらワールドミュージックって自分が現地に行かないと曲をかけるリアリティーが俺に比べて薄いから自分でもそういう体験をしたいみたいなこと言っていたんだよね。去年の年末ぐらいから4ヶ月くらいいるんじゃないかな。たまに変な祭りの写真送られてくるけど笑。安倍がインドに来たからインド人がみんな浮かれているよ、とかいう写真とか(笑)

KENSEI君はKENSEI君で何か音楽のガイダンスを得て面白い体験してるだろうなぁって思う。自分がその国から離れてみたらまたその見え方が変わるっていうのはすごくあるから。特にいわゆる第三世界系は。自分は海外に住んだ事は無いけど、遠く離れて自分の国を見ると、また何か凄く客観性が出るからね。日本っていいなって思ったりもするし。

今は金さえ払えばいくらでも海外には行ける部分はあるから、安直にただ外に出るのは良いとは思わないけど、何かしらそこに対する、文化に対するリスペクトみたいなものがあれば、それはちゃんと返ってくると思う。外国に行くというだけでは無く。単純にその人達の内面に興味があって、自分でリスペクトを持って、そこに行くとちゃんとなにかが還ってくる。

海外の旅だと、よりそのミラクル度が高いっていうか。言葉が通じなかったりとかするから、より直感とか洞察力が必要でトラブルも山積だったりするし。キューバ録音も機材を持っていったら空港で国から没収されたりしていきなり予想外の展開みたいな(笑)。

確固たる意志という、さっきの話で言ったら、どういうトラブルに巻き込まれようが諦めないで頑張る、っていうのは旅から学んだ部分は有ると思う。トラブルがあって途中で投げ出してホテルの部屋にいようってなっちゃうか、トラブルがあっても出なけりゃ何も始まらないみたいな感じはあるかもしれない。

今福岡で働く24になったばかりのケンゾーが海外にリアリティーが無いっていうのは、多くの日本人のリアリティーと同じだと思うんだけど、違う文化の人達と積極的に関わって生活を観て感じて、思考自体が自分の生活や日常から対比になって考えて行動していけたら面白いと思う。

K:僕もサンプラーやキーボードを使って曲を作ったり、ライブをしたりしていますが、海外に行ったら、そこで楽器を買ってきて、例えばKUNIYUKIさんみたいにライブをしたりとか。例えばの話なんですけど。そうやって本当に自分にとってリアルな形で楽曲として何かしら表現できるようになりたいですね。



J:いいね。有意義ですね。。

K:だからすごく楽しみですね。自分自身、全く予想がつかない世界っていうか。

J:KUNIYUKIさんのことを最後言わせてもらえばあの人とは、20年位前からの付き合いだけど、この10年とかでKUNIYUKIさんの評価がすごく高まっていて本当に嬉しい。無名な時期って言ったら雑な言い方かもしれないけど、そういう時期から知っていて。ずっとやっているから。それがまたPRECIOUS HALLっていう 最高の場所を作ったサトルさんっていう人と連動して、そこがまたミラクルを産んで。すぐに結果は出ないかもしれないけど、ほんとにやり続けて本当に探求して。好きな事をやり続けるってことは簡単では無い事だけど、音楽のヤバさっていうかそういうのに触れちゃったらね。しょうがないよね。

K: 本当に、毎回びっくりします。これ以上音楽愛みたいなものが深まるんだって、自分自身に驚きます。それは毎回良い音楽体験をするたびに思いますね。

J:うん。期待してます。(笑)

K:ありがとうございます。

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JUZU a.k.a. MOOCHY (NXS / CROSSPOINT)
10代からバンドとDJ両方の音楽活動を並行して始め、スケートボードで知り合ったメンバーで結成されたバンドの音源は、90年代から国内外のレーベルからリリースされる。DJとしても革新的でオリジナルなスタイルが一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動が展開される。ソロの楽曲制作としてもBOREDOMS等のリミックスも含めメジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。電子音楽、インプロビゼーション、民族 音楽、そしてあらゆるダンスミュージックを内包した作品群は、キューバを皮切りに世界各地のミュージシャン達とも録音され、新たなWorld Musicの指針として、自ら立ち上げたレーベルCROSSPOINTから精力的にリリースされている。近年は音楽制作のみならず、映像作品、絵本や画集 のプロデュース、また野外PARTY,ONENESS CAMP"縄文と再生”を企画し全国で反響を呼ぶなど活動は多岐に渡る。2015年から始まった怒濤のヴァイナルリリース、CD2枚組の4枚目のアルバムをリリースし大きな反響を呼んだ。 NXS PRODUCTION

Born in Tokyo Japan, J.A.K.A.M. has been been one of the leading figures developing the music scene in Japan from the early 90s as a DJ, producer and a band member. His wide variety of music ranges from house, hip hop, drum& bass, techno, reggae, jazz, rock to world music. With combining these different styles of inspirations and tradition, he creates the most unique time and space on the dance floor, a kind of fusion of early tribal house (recording live instruments in the studio),world music with a pinch of shamanic spiritual vibes.

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